毎日三十路女子

毎日かあさん 5 黒潮家族編

毎日かあさん 5 黒潮家族編

「マイナスは?」「借金」というやりとりに爆笑。

10代のころからずっと西原さんを読んできた。あの若すぎたころの所在無い気持ち。子供のころの痛い記憶。そして待望の女の子や女の気持ち。ずっと彼女の作品に気持ちを寄り添わせてもらっていた。そして彼女は母になった。母になったことのない私にはわからないことばかり。今度ばかりは気持ちを簡単に寄り添わせるわけにはいかない。

もうほぼ周りの友人たちも結婚し子供をもうけている年頃で、まだぶらぶらぶらぶらぶらしている自分には あの子供のころの記憶を共有しているはずの西原さんがちゃくちゃくと結婚出産子育てと進んでいっているのは、勝手にだけれど取り残された思いがする。高校の教室の片隅でフリッパーズギターを聞きながら、阿部公房を回し読みし、「結婚なんて考えられないから老後は二人で一緒に暮らそうね。」なんて約束したあの子がもう2児の母なんていう現実をつきつけられる。 

みんな怖くはないの?

鴨ちゃんの話は4巻で終わりかと思っていたらまだまだ満載でそれはもう泣いてしまった。
あんなに憎んでいたように見えて離婚までした人の書き方ではなかった。
(もちろん仕事上の表現のなかでしか知らないことだが)
これは彼女が作品の中で繰り返し書いている「死んだらわるうにいう人はおらん」という事なのだろうか それとも彼女のあふれる本音なんだろうか。
血管浮き出るほど憎んでそれでも愛して子供を生んで育てて働いて

私にもできるのだろうか。ねえ。

読み終わった後、教室の片隅で約束したあのこや西原さんが、
おいでおいでしているようにみえた。(三途の川かいな)