ヨギシャ

ついに・・九州発の夜行列車がなくなってしまった・・。地元から出ていた「さくら」がなくなったときも相当ショックだったけれど・・。九州発がまだ何便かあるから安心していた矢先・・。
「さくら」は受験のときに乗って京都まで行った事がある。あの頃交わしていた淡い約束を胸に秘めて眠れずに夜の風景を眺めた。(その約束はもろくも砕け散ったものだけど)
駅のホームでおかんが泣き出して、つられて不安があふれだして隣の車両で泣いていた私に隣り合わせたお兄さんがチョコミントのアイスクリームを買ってくれたっけ。
お礼を言う隙を逃してお兄さんは夜のうちにどこかですでに降りてしまっていた。
朝にとまったどこかの駅でうどんを食べようとしてスリッパのまま外に出てしまい恥ずかしい思いをした。
あの時。期待とか不安とか大きすぎる可能性と、でも自分というものとの折り合いとか果たされるか分からない約束とかいうものもあの夜汽車にのせて走っていた気がする。本当に陳腐な言い方だけれど。そういったまとまりのつかない気持ちをもてあます自分をのせて住み慣れたところから移動するには一番似つかわしい乗り物だった。もう一度のりたかったな。
私の密かな願いは九州から北海道まで夜行列車をのりついで新婚旅行をすることだった。
ものぐさな私には勝手に移動してくれながら旅を続けられるのは理想的だし 好きな人とそういった夜を共有するのは素敵なことだと思ってた。
なによりそんな夜行列車が好きだった。
まだまだ夜行列車は走っているし、計画を練り直すのも楽しいものかもしれないけど(だいぶ先の話になりそうだし)やっぱり寂しい。